この記事は、筆者が十数年前に体験した、赤ちゃん育児全盛期に経験した寝不足をもとに書いたエッセイです。
同じようにがんばるママの心が、少しでも軽くなりますように。
はじめに
今朝のニュースをつけると、著名なスポーツ選手が放ったひと言がクローズアップ。
「子どもが生まれて、心地よい寝不足ですっ(キラッ)」
…ん、ちょっと待て?そんな風に思えるママ、どこにいんの!?
やや”ファンタジー”寄りな発言に、モヤッてるママ、いませんか。
「心地よい寝不足」ってどのレベルの寝不足なの?
夜中に一度起きたけど、隣にいる妻が赤ちゃんを抱っこしてくれて
自分はそのままウトウト・・・そして朝。
それで「寝不足が心地よい」って言ってるなら
それはもう“寝不足風”です(笑)
私たちママが味わってるのは
- 2〜3時間おきのオムツ→授乳
- やっと寝た(泣)と思ったら背中スイッチで寝かしつけに失敗
- 1時間スタンディング揺ら揺ら
- 寝たと思ったら・・・ぶりぶりー(くさっ)漏れとるやないかい
- オムツを替える→シクシク泣き出す→もう少し飲むかい?
- ようやく寝たぜ!と思ったら洗濯機ピーピー
- 隣でガーガーイビキかいてる旦那、鼻と口つまんでやろうか
- 朝陽がまぶしいぜ、また一日が始まるぅぅぅ
このゾンビ化した母の現実を
“あー心地良いわぁ”なんて思え、ます?
もはや人としての尊厳はどこへ・・・? ママの現実
腕からダランと寝こけた赤ん坊、おっぱい出しっぱなし、そしてチチチ…朝を迎える。
そしてよく寝た夫が、何も言わずにそっと乳をしまう。
私がよくやらかしていたリアルです、はい。
―――いやもう、これは夫婦の愛のカタチ?
「ま、無事朝を迎えられた。それでいっか」って立ち上がる、それがママなのです。

あのスターを責めたいわけではない
誤解のないように言えば、私は彼の発言を責めたいわけではありません。
父親になった彼
初めて父親になり、これまでとは違う幸せに触れたばかりの彼にとって
「寝不足だけど心地よい」という言葉は
精一杯の実感だったのだと思います。
むしろそのひと言に、彼のまっすぐな人柄が滲み出ていて
素直に「そうか、今とても幸せなんだな」と受け取った人も多かったはず。
ちなみに、この発言を夫人はどんな顔で聞いていたのだろうか。
そのリアクションを今、一番知りたい(笑)
切り取られ、一人歩きする「言葉」
でも、その言葉がメディアの中で切り取られ
“育児の寝不足すら幸せ”という空気感が広まっていくうちに
どこかで現実との温度差を生んでしまってはいないか、と疑問にも思いました。
夜中に何度も起き、まともに眠れず
落ち着いて食事もままならず、それでも子どもを育てるママたちにとって
寝不足はただの”通過儀礼”なんかではなく
時には身も心も削られるような時間であることを忘れてはいけないと思います。
「寝不足=幸せ」という、ふんわり美しいイメージだけが一人歩きしてしまうと
そこにうまく乗れない自分が”共感できない側“のように感じてしまう・・・
私はその空気感にモヤっとしたのだと思います。
この言葉がすべてのママにとって優しいものとは限らない
夜中に何度も起こされ(早く寝てー)とイライラ
イライラする母親はダメ母か、と自己嫌悪で涙を流しながら寝かしつけをする―――
寝不足って、本来辛いもんですよ!!
まず、人に優しくなれない、自分にも優しくなれない、誰も理解してくれない。
そんなギリギリの夜を越えているママにとっては
「寝不足すら幸せ」という言葉は、時には凶器になりうるかもしれません。
ふわっとして、キラキラしていて、美しくて…
そんなわけない。
泥だらけの現実がリアルにあるんだと、それもきちんと理解されてほしいな。
これ自分の夫が言ったらどうよ?
世のおっさんだったら許されないってやつ
これをもし自分のパートナーが言っていたらどうなの!?
少なくとも私だったら心のなかでぶっ飛ばしてやりたいレベル(笑)
「夜中の泣き声が聞こえない」
「おむつ変えるくらいしか出来ない」
と自ら”戦力外宣言”していた夫は
隣でデッカイいびきをかいて寝ていました、はい。
✔愛しい日々だが戻りたいとは思わない(笑)
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「これが聞こえないってどゆこと…?」
静かーに殺気立った夜です。
特に新生児育児は寝不足の極み。
だからかなぁ、「心地よい寝不足」発言が私にはぐさっと刺さった…
その他の「やってから言え」なセリフ集
ちょっと脱線。
集めてみました、ダンナが言ったら「は?」なシリーズ。
- 「赤ちゃんて寝るのが仕事だからね」
いや、寝かせるまでが大変なんだけど?寝かせてから言え。
- 「育休中ってのんびりできていいよね」
寝かしつけと授乳10サイクルと3食立ち食い、やってから言え。
- 「俺もミルクくらいならあげられるよ」
くらいってなに?
- 「泣いたら抱っこすればいいじゃん」
夜通し抱っこし続けて腰が砕けてから言え。
- 「いやぁー赤ちゃんて可愛いよね、辛さも全部乗り越えられる」
どのレベルの辛さのことですか?
- 「寝ると泣き声が聞こえないんだよね」
すげー特殊能力だな。夜勤明けにピッタリだわ。
- 「俺が代わってあげようか?」
“あげようか”じゃなくて”代わる”って言え。
- 「たまには自分の時間とれば?」
じゃぁ子どもを24時間預かってお金くれるんだったらそのセリフどうぞ。
ほんとに、夜中のママ、お疲れ様だよ。
私も椎間板ヘルニアと両手首腱鞘炎で、記憶が曖昧な暗黒時代があったなぁーと思い出しました。
誰かの”心地よい寝不足”の裏で、誰かが本気で寝てない現実があるかもしれないこと。
私は知っていますよ。
おわりに:結局、ママは今日も生き延びた
心地よい寝不足なんて、あり得るのでしょうか。
少なくとも、私にはそんなふうに感じられる余裕はなかったし
そんなふうに感じられなかった自分は”ダメな”母親だったのかとも思ってしまう。
でも、なんとか毎日を無事に迎えることができ、子どもたちはすくすくと成長しました。
今も昔も、洗濯物は山積みだし、キッチンのシンクには干からびた食器たちがいっぱい。
床に散らかるモノたちを蹴飛ばしながら歩き、お菓子が足の裏にくっついても気にせず
掃除機はいつかけたかさえ曖昧で、何を取りに行ったのかも思い出せない毎日。
大丈夫、今日も寝不足ながらやりきった。
冷めたコーヒーを3回チンして、昨日の子どもの食べ残しをお昼に食べて
洗濯カゴの奥底から靴下ひっぱりだして「あれ、片方ない」と言いつつ
昨日と同じスウェット着て、日焼け止めオンリー
マスクと帽子で個人特定できないようにしてスーパーに走っていく。
今日もがんばったよ、私たち。
「心地よい」なんて感じられた日は全くなかったけど
今ははっきり言える。
あれは心地よさじゃなくて、生存本能。
つまり生きるのに必死だった!!ってこと。
それでも私たちは今日も前を向いて立っている。
それだけでじゅうぶんです。
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