※この記事は、母としての実体験と、小児科で働く看護師としての視点をまじえて書いています。それぞれの育児に合ったやり方があることを、少しでも肯定できる記事になればと思っています。
はじめに
私が十数年前に育児を始めた頃は
母乳育児こそ正義、みたいな肌感がありました。
「完母神話」が根強く残っていた時代
周りを見渡せば、やはり完母のママが多かったような。
「ミルクを使う=手抜き」と言われているような…
なんとも言えないプレッシャーがあったのも事実です。
関連記事
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→【母乳だけが正解じゃない】「完母」で突っ走った私が今ママたちに伝えたいこと
あれから時代は少しずつ変わり…
今、授乳スタイルは大きく変化しているようです。
授乳スタイルはここまで変わってきた
厚生労働省の調査では、
生後1ヶ月時点で「母乳のみ」の割合は
🔸令和元年度…【41.1%】
🔸令和4年度…【31.3%】🔻
と、年々減少しています。
代わりに、混合栄養を選ぶ家庭が増えているんです。
ピジョンの2025年調査(右図)では、0〜5ヶ月児のママの82%が母乳を与えているとしつつも、「母乳のみ」と答えた人の割合は、前回調査より25%減少したという結果に。

母乳をがんばりたい。でもムリはしたくない。

赤ちゃんにとっていい方法を、自分で選びたい
“育児の多様化”がデータにはっきり現れていて
そんな自由な選択が、今の授乳スタイルとなっているようです。
【母乳のいいところ】“自然のサプリメント”はやっぱりすごい!
母乳が栄養面、免疫面において
優秀であることは間違いないので
あえて、私よつは*が推す“母乳のメリット”を挙げてみます。
産後ダイエットにひと役買う!!
冗談じゃなく、母乳を全力であげていると
なんだかお腹がすいて仕方ないのに…
嬉しいことに体重が増えないどころか勝手に減っていく不思議。
実は母乳を1日に約800ml作ると
およそ500kcalを消費すると言われています。

これ、ジョギング30〜40分やったのと同じレベル!!
つまり授乳してるだけで知らぬ間にカロリー消費ができる…
そんなご褒美ある?って話ですよね(笑)
一回の授乳で”コース料理”!?
しかも母乳は、一回の授乳の中でも
中身が変わるってご存知ですか?
- 飲み始めはサラッとして水分多め
→水分補給&最初の導入 - 飲み終わりに近づくと、だんだん脂肪分が濃くなって
→お腹いっぱい&デザートでフィニッシュ!
これぞ天然のコース料理。
赤ちゃんは知らぬ間に、満腹中枢を刺激されているんです。
心の栄養にもなる
授乳って、栄養だけじゃなくて、ママと赤ちゃんが向き合う”心の時間”。
肌と肌がふれあい、ママの匂いや鼓動を感じながら飲むことで、赤ちゃんは「安心する力」を育んでいきます。
ママの方も、授乳中に出る
「オキシトシン(愛情ホルモン」のおかげで
心がふわっとほどけるような、癒やしの時間になることも。

経済的!しかも荷物が少ない
「母乳は0円で栄養満点」というのも侮れないメリット。
とにかく経済的。
そして、授乳ケープさえあれば
いつどこで赤ちゃんがぐずっても、サッと対応できるこの身軽さ。
まさに母乳育児の大きな強みです。
【ミルクのいいところ】”科学と安心”の育児パートナー
母乳が「自然の恵み」なら
ミルクは「人類の英知」…!
育児のチームプレイが可能!
ミルク育児の最大の魅力はなんといっても
「ママ以外も授乳できる」こと!
パパ、じじばば、保育士さん―――
誰かにお願いできるから
ママが一人で抱え込まなくて済む。って結構大きいよね。

時間と場所の自由度が高い!
母乳はさっとあげられる反面
授乳室を探さなければいけなかったり、ケープが必要だったり。
その点ミルクなら、授乳の場所を選ばず
時間のコントロールもしやすいのが大きなメリット。
外出時や旅行、保育園への引き継ぎもスムーズで
ある程度”予測できる育児”をしやすいという安心感があります。
ママの体調や気持ちを最優先できる
「母乳をがんばらなくちゃ」という思いが
ときにママに大きなプレッシャーを与え
知らずのうちに追い詰めていることがあります。
でも、ミルクがあるから、無理しないで済む。
熱が出たとき、精神的にしんどいとき―――
ミルクは”心と身体を守る育児の味方”になってくれる。

ミルクに頼る=逃げ、では全然ありません
むしろ「助けてもらえる手段がある」って
とても心強いことです。
食物アレルギーや体重管理にも役立つ
最近では、アレルギー対応のミルクや
成長に合わせた製品などバリエーションが豊富なのもポイント。
医師の指導のもとで
赤ちゃんにぴったりのミルクを選ぶことができ
「この子にとってベストな育ち方」をサポートできます。
母乳で足りない栄養をしっかり補える
母乳は素晴らしい栄養源。
でも実は、生後数ヶ月を過ぎると
鉄分やビタミンDなどの栄養素が不足しがちになるんです。

実際、我が子も「完母で育てたがゆえの貧血」―――
そんな経験がありました…(汗)
母乳だけでは補いきれない部分を
ミルクはしっかりサポートしてくれる。
「ミルク=補助」と脇役として捉えるのではなく
「必要な栄養素を取る手段のひとつ」と主役として考えると
ママの罪悪感が少しやわらぐかもしれません。
- 母乳が出にくい
- 仕事復帰が早い
- ストレスで体調が安定しない
育児は思い通りにいかないことだらけ。
そんなとき「ミルク」という選択肢があることは、救いにもなります。
【混合栄養という選択】どっちもイイトコ取り!

母乳かミルクか!
“どっちか”こだわらなくていいのが、今の育児のいいところ。
母乳を与えつつ、必要なときはミルクに頼る―――
いわゆる「混合栄養」は現代を生きるママたちにとって
ものすごく現実的で、賢い選択だと
少し前の時代で完母にこだわっていた私からは
そう、思えるのです。
いいとこ取りは赤ちゃんにもママにも優しい
母乳の免疫力+ミルクの栄養力―――
ママの体調や気持ちに合わせて
授乳方法を調整できるのが混合栄養の強み。
🔸今日はどうしても疲れてて、もうミルクにしよう
🔸夜間だけパパが担当してくれる
そんな”自由度”が、育児のストレスを
ふっと軽くしてくれるんですね✨️
よくある誤解:中途半端じゃない!
「混合って結局どっちつかず?」
「なんか中途半端でかわいそう?」
―――全くそんなことはない!
混合はむしろ、その子のその時の最適解。
“完母”や”完ミ”と違って、「バランスを調整できる」って現代育児の進化の証なのかもしれません。

ミルク拒否や乳頭混乱?
「哺乳瓶を嫌がる」
「おっぱいを飲まなくなる」などの
“乳頭混乱”問題…
でも、飲ませ方やタイミングを少し調整するだけで
スムーズに両立できるケースも多いです。

→【完母から哺乳瓶への移行は可能!?】ママと赤ちゃんに優しい7日間プラン
混合育児にも正解なんてない
完母の日もあれば、ミルク多めの日もある。
そんな日々を積み重ねながら、親子でちょうどいいバランスを模索していく…
混合育児は「我が家だけのオリジナルスタイル」を
育てていくプロセスなのです。
まとめ:【正解はどれでもない】それが正解
出産後、すぐに突きつけられる問い。
母乳か、ミルクか、混合か―――
でも、実は”どれを選ぶか”が大切なのではなく
“どう育てたいか”
“どんな風に毎日をすごしたいか”が
真のテーマなのだと思います。
赤ちゃんにとって、家族にとっての「ベスト」は
ママが笑顔でいられること。
それを守れる方法ならどれだって正解。
完母で頑張るママがいる。
ミルクに助けてもらうママがいる。
混合でうまくバランスを取るママがいる。
どの選択にも、悩んだり、工夫したり
「この子にとって一番を届けたい」という
ママの愛がこもっています。
かくいう私も、かつては授乳に追われ
「これでいいのかな?」と迷いながら毎日を重ねてきました。
我が家は全員完母で育ってきたけれど
「もしかしたら他のやり方もあったのかもな」って
そんなふうに思うこともあるし
もしミルクを使っていたら
「やっぱり母乳の方がよかったのかな」なんて
思ったかもしれません。
結局のところ、どちらを選んでも悩むことはあるし
どちらにも”良さ”と”迷い”はあります。

だからこそ、どの道を選んでも、間違いではない。
どれを選んでも、それは“その時のあなたなりのベスト”なんだと。
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