【形を変えて、そばにいる】ドライフラワーとの出会い

心をととのえる
あの日から、少しずつ始めたこと

もうすぐ2年が経ちます。
あの子がお空に旅立ったときのことです。

たくさんの方々がお花をくださったんです。
そんなに広くない我が家には飾りきれないほどの…可愛らしいお花たち。

もらったばかりの数日はキレイに咲いていた花も
1週間も経てばだいぶしおれてきちゃいます。

当たり前のことですが、ずっと咲き続けられる花はありません。
せっかくもらったのに…なんだかもったいないな、と思ったのが始まり。

それまで「花」の扱い方もよく知らなかった私が
いかにこの可愛らしい花たちを残せるか…考えた末。

素人ながらに辿り着いた答えが「ドライフラワー」でした。

枯れていく花をみつめながら

それまでのわたしは
いただいたお花がしおれてくると

「そろそろだな…」と
ポイッと捨てちゃっていました。

けれど、あのときはどうしても捨てられませんでした。
花びら一つ一つに、あの子への想いが宿っている気がして。

この子のもとに届いた”想い”を
少しでも長く手元に残しておきたかったのです。

はじめてのドライフラワーづくり

ドライフラワーってよく見かけるのは
「吊るされた」姿、ですよね。

いわゆるハンギング法。

これがね、とっても簡単なんです。
初心者でも簡単にできちゃう。

ただ束ねて、逆さまに吊るして、風通しの良い日陰に干すというもの。
めんどくさがりの私でも簡単に出来ました。

少しずつ鮮やかな色味を失っても
新しく現れるのは、主張しない、くすんだアンティーク調の落ち着いた色味。

あぁ、私にもこんな色味が作れるんだと感動さえ覚えたものです。

枯れることは、終わりではなく

もちろん、花は咲いてこその美しさ。

けど咲き続けることは出来ない。
いつか必ず、枯れてしまうんですよね。

この命の法則が、あの子を失った出来事と自然にリンクして…

まだ終わりじゃないよって思いたかったんです。
形が変わったって、命は続くんだよって。

生花を愛でて、ちょうどいいタイミングでドライフラワーに姿を変え
新たに命を吹き込む。

この作業は私にとって…
まさにグリーフ(悲嘆)ケアそのものとなりました。

今も、これからも、そっと暮らしの中に

私は自身の性格上、人に頼ることが苦手です。
弱い自分を見せるのが嫌いで
母として強くいなければと思っていました。

でも、その性格が裏目に出てしまい
泣くことも、誰かに頼ることもためらわれ

いつしか、自分の悲しみがどこにあるのかさえ
分からなくなっていました。

そんな中で、ドライフラワーは唯一
わたしが悲しみと共にいられる場所。

花に触れていると
心の奥に押し込めていた想いが少しずつ
形を取り戻していく。
あの子と静かに対話しているような、そんな感覚になります。

ドライフラワーは、私の中に眠る悲しみを
そっと呼び覚ましてくれる存在です。

枯れてもなお美しいその姿に
「悲しみを抱えたままでも生きていいんだ」と
―――そう教えられている気がします。

悲しみをそっと包む、ドライフラワーの力

花が枯れても、想いは消えない。
形を変えて、静かにそばにいてくれる。

ドライフラワーづくりは、
わたしにとって“心を整える時間”であり、
グリーフケアそのものでした。

悲しみを消そうとしなくてもいい。
形を変えて、生きていけばいい。

あの子の姿を重ねて
今日も、ドライフラワー達と暮らしています。

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