この記事は
【頼っていいんです】限界ママを支える育児支援制度〜頼れるサポート一覧〜
シリーズです。小児科で働く看護師としての視点と、各自治体の公開情報をもとにまとめたものです。制度の名称や内容は自治体によって異なる場合がありますので、最新情報はお住まいの自治体にご確認ください。
はじめに:産後ケア事業ってなに?
「産後ケア」という言葉を聞いたことがありますか?
母子保健法の改正により、2021年4月1日に、市区町村の努力義務となった事業です。
これは、出産後のママと赤ちゃんをサポートするために
自治体が用意している育児支援制度のひとつです。
主な支援内容は?
・産後のお母さんの心と身体のケア(休息・メンタルサポート)
・赤ちゃんのお世話サポート(沐浴や授乳のアドバイス)
・食事・宿泊の提供(施設型/通所型/訪問型)
・助産師や看護師との相談時間
利用できる人は?
・原則、生後4ヶ月未満の赤ちゃんとママ
(自治体によっては6ヶ月〜1歳未満まで拡充しているところも)
・体調や育児への不安がある方
・家族から十分な支援が受けられない
(ワンオペ、実家が遠方なども含む)

「体調が悪くて」とか「里帰りしてないから辛くて」と感じていたら
その時点で対象に入る可能性が十分あります
利用できないケースもある?
・赤ちゃんやママに入院が必要な重い疾患がある場合
・医療的ケアが常時必要な場合(施設によっては相談対応あり)
使いたいときに「もう期間が終わってた…」
ということも少なくありません。
チェックポイントは?
・産後はバタバタしてそれどころではないので
妊娠中のうちに「申請だけでも」しておくのがおすすめ
・自治体によっては対象が「産後4ヶ月未満」など制限があるので要注意!
・利用できる回数や費用補助の有無も地域で異なるため
事前に市区町村の公式サイトか窓口で確認するのが安心です
実際の「産後ケア」の流れ(一般的な手順)
ステップ①まずは市区町村に問い合わせ
・役所の子育て支援課・保健センターなどで申請
・自治体のホームページから書類をダウンロードできる場合もあり
・逆に利用できないケースの例:
- 赤ちゃんまたはママに入院が必要な状態である
- 重症の医療的ケアが必要(施設によっては相談次第で対応可能な場合も)
- すでに別の制度で支援を受けている場合(重複利用不可なケースあり)
ステップ②必要書類の提出
・申請書(自治体指定のもの)
・母子健康手帳
・健康保険証orマイナンバーカード
・所得に応じた減免申請書類(必要な場合)
※自治体により異なりますので必ず確認してください。
ステップ③利用の可否の確認
・助産師や保健師との面談や、電話での簡易的な聞き取りがあることも
・利用対象(月齢・体調)や支援内容を確認される
ステップ④利用日を予約する
・通所・宿泊・訪問型のいずれかを選んで予約
・利用できる施設や提携助産院・産院は自治体がしていることが多い
ステップ⑤当日は母子で訪問・通所or自宅に訪問を受ける
・食事・休息・育児相談などを受けられる
・自治体によっては助成があり、利用料が無料〜1日数千円で利用可能
あの頃のわたしと言えば…
今でこそ「産後ケア事業」という制度があるけれど
私が双子育児のカオスの中にいた当時は
そんな仕組みはまだありませんでした。
NICUから退院した日
「はい、がんばってね」と放たれたような感覚。
そこから先は、未知の双子育児と、産後のボロボロの体で
ひたすら“自力”でなんとかする毎日でした。

もし、あのときに今の制度があったなら——
助産師さんにちょっとしたケアのポイントを聞けたり、
赤ちゃんの様子を一緒に見てくれる誰かがいてくれたなら、
もう少し、心にも体にも余白があったかもしれない。
双子を抱えながら、2歳児の相手をする毎日は
もはや育児を越えた24時間耐久綱渡り。

これくらいできなきゃ母親失格だ…
謎の誇り高きプライドと焦りが邪魔をして、自分を追い込んでいたと思います。
今を生きるママへ。
頼れるものは頼っていいんです。
あなたにはその権利があるのだから。
まとめ:「産後ケア」は身近なものであるべき
産後ケアって聞くと
「特別に弱ってる人が使うもの」と思われるがちですが
でも、本当はそれだけじゃない。
たとえば―――
- 産後の回復が遅く、赤ちゃんのお世話がしんどい
- おっぱいのケアの仕方がわからない
- 泣き声を聞いていると辛くて涙が出る
- 少しだけでいいから…寝させて
そんなとき
「母親として頑張れてない」んじゃなくて
“1人の人間として、限界が近づいている”ってこと。
だから、その感覚こそが、制度を利用していいサインだと思うのです。
頼ることに罪悪感を覚える必要はありません。
産後ケアは
「がんばれないあなたを責める」ための制度ではなく
「壊れないように」そっと支えるための制度です。

もし今、妊娠中のあなたや、産後すぐのあなたがこの記事を読んでいるなら
是非、ご自身の自治体ではどのような制度があるかリサーチしてみてください。
知っておくだけでも価値があります。
限界を感じる前に、頼っていい制度があること。
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